早稲田日本語教育実践研究 刊行記念号
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●27中山英治/留学生支援システムにおける日本語チュートリアルの実施概要とその意義表1 資料5に含まれる「日本語チュートリアル」ポスターより作成表2 資料3に含まれる日本語チュートリアル「応募者一覧」より作成業務内容同特定課題研究の一環として開発・運営に取り組む「日本語チュートリアル」に支援スタッフとして参加する。教職員と協力しながら,次のような活動に携わる。a留学生が自律的に日本語を学べる環境を整備する。留学生の自主的な日本語学習を支援する。b留学生が充実した留学生活を送れる環境を整備する。留学生の修学活動を間接的に支援する。c支援スタッフの専門知識・経験を活かした留学生向けのグループ学習などを企画・運営する。活  動d定期的に開催されるワークショップなどへ参加し,留学生支援への理解を深める。eその他,日本語チュートリアルの運営に関わる作業を行う。※ a.については「日本語チュートリアル」として開室する日本語学習支援室のスタッフとして勤務する。特集 教室中心主義からの解放/基幹論文22号館6階616教室22号館5階507教室22号館5階512教室2011年5月23日〜8月2日の毎週 月・火・金曜日月曜日13:00−14:30火曜日16:30−18:00金曜日16:30−18:00春学期の終了後に日本語チュートリアルの日程すべてを対象とした集計を行った結果では,実施曜日の差も表れて,月曜日,火曜日,金曜日の順に来訪者の数が増えていく結果であった。週末の金曜日に来訪者が多くなる事実は,今のところ特にその原因がはっきりしていない。また,春学期実施のこの結果が継続して次学期にも繰り返されるかどうかについては本執筆途中(秋学期中間時点)でその事実はないことを見ると,原因は曜日時限の単一的な問題ではなく来訪者の都合や実施の評価など,複合的な原因を探る必要があるように思われる。こうしたことは今後の課題となろう。1.3 支援スタッフ日本語チュートリアルの支援スタッフは,早稲田大学大学院日本語教育研究科所属の大学院生に公募をかけて選出した。資料「『留学生支援システム』および『日本語チュートリアル』の理念と支援スタッフの役割」によると,「Ⅱ.日本語学習リソース/留学生サポート:支援ネットワークの構成要素」として,支援スタッフが「ヒトとしての日本語学習リソース」と位置づけられている。また,同資料「Ⅳ.支援スタッフの役割」には,日本語チュートリアルの第一運営者として支援スタッフがあり,「専門家や日本語教師ではなく,同じ学生として留学生を支援=ピア・サポート」という位置づけがなされている。このことは非常に重要なことで,同資料には指導や教育を行う場ではなく,同じ立場で友好的な対話を通じて支援を行う理念が掲げられており,日本語チュートリアルの支援スタッフとして日本語教育の素養もある日本語教育研究科の大学院生に担ってもらう意図がここには十分含まれていると言える。公募の際には上記のような位置づけも応募者に部分的に理解してもらう必要があり,各応募者に実施可能な曜日と時限の他に支援可能な言語や志望動機などを備考として伝えてもらった。また,同時に応募要項の中には具体的な支援の業務内容を加えて,日本語チュートリアルに参加する際の心構えも持ってもらうような配慮をした。以下はその際に説明した業務内容である。人選については,日本語チュートリアルの研究スタッフである教職員が複数名で選んだ。

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