早稲田日本語教育実践研究 刊行記念号
198/222

●196早稲田日本語教育実践研究 刊行記念号/2012/195-196実際の授業では,メインテキストの学習が完了した後,補足の形で映像を見せた。テキストの本文では著者や専門家の意見などが既に出ており,映像の中にも多くの意見や情報が盛り込まれていた。まるで2時間のバイキングコースを終えた人に「まだなにか食べられるか」と聞くようなもので,あらゆる意見や感想がすでに登場済みの状態で,さらに尋ねても,学生から新たな意見や会話はもちろん生まれてこない。改善策として,補助教材の紹介をテキストの前に行い,客観的な現象や事実を中心にして提示し,そこで学生たちの関心を引けば,意見の発表や会話を導きやすくなるだろう。さらにスキーマを活性化する効果も期待できる。補助教材を本文の前に提示することによって,テキストの現象説明の部分に対する理解が深まり,学生の意見が著者や専門家の意見と同様な場合,「専門家と同じことが語れた」と自信につながることになるかもしれない。上述の改善案はまだ実施してはいないが,実施するチャンスがあれば機会を改めて結果報告をしたい。

元のページ  ../index.html#198

このブックを見る