早稲田日本語教育実践研究 刊行記念号
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●163.2.ナビゲーター留学生支援システムは,旅行者向けインフォメーションセンターのメタファーを用いると,その働きが分かり易かった。同じメタファーに基づいて支援スタッフの役割を定義するなら,案内係,つまり,ナビゲーターと呼べる。インフォメーションセンターを訪れた来訪者に直接対応する窓口となり,多様な問い合わせに臨機応変に対応し,やり取りをしながらニーズを洗い出し,観光地などに関する情報提供を行い,最適と思われる目的地へ来訪者自身で確実に辿りつけるよう明確に道筋を示し,送り出す。優れた案内係になるには,できるだけ多くの情報を事前に掴んで整理し,あらゆる問い合わせに備えておかなければならない。場合によっては,手製の地図や観光ガイドブックのような特別なツールを準備しておくことも必要である。同様に,支援スタッフも来訪者(留学生)に対し,迷子にならないよう道案内を行う。わせだ日本語サポートを訪れた来訪者に直接対応する窓口となり,多様な問い合わせに臨機応変に対応し,対話しながらニーズを洗い出し,日本語学習リソースや留学生サポートに関する情報提供を行い,最適と思われるリソースやサポートへ来訪者自身でセルフ・アクセスできるよう明確に道筋を示し,送り出す。優れたナビゲーターになるためには,できるだけ多くの情報を事前に掴んで整理し,あらゆる問い合わせに備えておかなければならない。場合によっては,手製のリソース・マップや留学生ガイドブックのような特別なツールを準備しておくことも必要である。心身の健康問題をはじめとした専門的な支援を必要としている留学生は,できるだけ早く,学内の専門家や専門部署に確実に取り次いでいかなければならない。そのためには,学内にどのような留学生サポートが準備されているのか,事前によく把握しておくに越したことはない。支援スタッフは,常に,学内だけではなく,学外やWEB上に多数存在している日本語学習リソースや留学生サポートに関する情報収集のためのアンテナをできるだけ大きく張り,それら学習リソースや留学生サポートへの確実なアクセス経路を用意し,留学生の求めに応じていつでも提供・紹介できる体制を整えておきたい。3.3.アドバイザー留学生を日本語学習リソースや留学生サポートへ道案内するのがナビゲーターの役割であった。学習リソースや留学生サポートへのセルフ・アクセスは,単発的に一度だけで完結するケースもあろうが,場合によっては,継続的・計画的に行うべきである。日本語学習も留学生活も中長期に渡って続く営みである以上,支援も継続的になる可能性が高い。継続性・計画性を伴ったナビゲーションがアドバイジングである。日本語学習に関しては,留学生は,今の自分には「何ができて,何ができないのか」を自己分析し,自分に相応しい現実的な学習目標を設定し,自らに必要な学習リソースへ,いつ,どれくらいの頻度でセルフ・アクセスし,日本語能力の伸びをいつ頃どのように自己検証すべきなのかについて検討しなければならない。つまり,主体的に個人的学習環境を整え,学習計画を練り,実行しなくてはならない。しかし,自らの学習計画を立てるという経験をしたことがある学生は極めて少なく,ほとんどの留学生は何らかの人的・物的支援を必要としている。支援スタッフは,このような留学生からの要望を受け,対話を重ねながら共に学習の計画を立て,学習の進捗状況を記録し,振り返る手助けをする日本語学習アドバイザーとしての役割を演じることが期待される。ここで求められるのは,日本語学習を直接指導,管理,評価することではな早稲田日本語教育実践研究 刊行記念号/2012/7-23

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