注 ●1574.学生の反応など5.改善点など河内千春/開発教育を取り入れた日本語クラス実践エッセイ&インタビュー/センター最前線から,順番に細かく見ていく。例えば,目標1は「飢餓をなくそう」である。まず,『世界がもし100人の村だったら完結編』の目標1についての解説文を読ませる。次に,国連世界食糧計画(WFP)作成のハンガーマップで飢餓の実態を見せる。最近の新聞記事を紹介することもある。2011年秋学期にはソマリアの記事を紹介した。さらに,「世界には食べ物が足りないの?」というマンガ(『世界と地球の困った現実』)を読ませ,問題がどこにあるのかを理解させる。また,「増えつづける人口と<たべもの>」(『世界がもし100人の村だったら3 たべもの編』)を読ませ,使われている日本語の語彙や文型を確認させる。同様に目標8まで続け,貧困の原因や解決方法などについて話し合う。学期中にテスト(漢字の読み方と内容読解)とレポート提出が2回ずつある。よりよい地球社会や地球環境を作るために何かをしたいと考える学生が集まったクラスなので,積極的にクラスに参加している。また,自国で途上国支援のボランティアをしたことがある,スタディーツアーに参加したことがある,などの学生もいる。もともと読解クラスだったので,読解に重点が置かれていたが,テーマ科目になったことで,表現活動も加えることにした。授業で取り上げた内容から自分で一つテーマを選び,A4用紙1枚程度のレポートを書き,書いたレポートを口頭で発表するのである。書いたものをそのまま読むのではなく,できるだけ話し言葉に直して読むよう努力する。2011年度秋学期からは,さらにわかりやすく伝えるために,パワーポイントに要点をまとめて見せるというビジュアル・メディアを加えた発表を行なうことにした。今のところ,日本人ボランティアは入れていない。国際協力やミレニアム開発目標に関心のない学生では続かないだろうと思われるからである。1) 支援者として,地域支援のための寄付を行なうほか,その地域に住んでいる子供との文通や訪問を行なっている。現在は,ホンジュラス西部の村のコミュニティー支援を行なっている。2) 2007年から開発教育ボランティアとして,小学生や中学生への授業,スタディーツアー,ワークショップ企画,イベントの手伝いなどを行なっている。参考文献池田香代子+マガジンハウス編(2004)『世界がもし100人の村だったら3 たべもの編』マガジンハウス.池田香代子+マガジンハウス編(2008)『世界がもし100人の村だったら 完結編』マガジンハウス.日本国際飢餓対策機構編・みなみななみ(2003)『まんがで学ぶ開発教育 世界と地球の困った現実―飢餓・貧困・環境破壊―』明石書店.
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