●12早稲田日本語教育実践研究 刊行記念号/2012/7-23図4 ポータル経由のセルフ・アクセス図5 個人的学習環境る。留学生は,最初にポータルにセルフ・アクセスし,あらかじめ張り巡らされたアクセス経路を辿ることにより,容易に学習リソースや留学生サポートに到達できる。2.5.個人的学習環境と個人的修学環境日本語学習リソースや留学生サポートへセルフ・アクセスするための道筋が確立されたからといって,すべての学習リソースや留学生サポートが常に等しくアクセスされる訳ではない。セルフ・アクセスが留学生による主体的な活動である以上,いつ,どの学習リソースを使って学ぶのか,何回くらい,どのくらいの頻度で留学生サポートを利用するのか,といった判断は,すべて留学生本人に委ねられている。留学生は,今の自分にとって最も相応しい学習リソースと留学生サポートを見極め,セルフ・アクセスする権利を有している。もちろん,ある学習リソースや留学生サポートにはアクセスしない,あるいは,もう必要のなくなった場合にはアクセスをやめる,という決定も可能である。このような一連の主体的営みによって,留学生は自分自身に相応しい大学空間,すなわち,自律的な日本語学習を実現できる学習環境と,自己実現を可能とする修学環境を作り出すことができる。自分だけのために主体的にデザインした学習環境を,「個人的学習環境」と呼ぶ。
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