●1239人(53%)中級〜上級7人(39%)中級〜上級8人(47%)4人(25%)中級〜上級4人(44%)中級〜上級5人(56%)中山英治/日本語教育における映画の一般的な教材価値と社会参画を支援できる教材価値表2 本授業科目の受講者の詳細受講者属性開講年度2010春学期(金曜日1限)2010秋学期(金曜日1限)2011春学期(木曜日1限)2011秋学期(木曜日1限)特集 教室中心主義からの解放/寄稿論文外国人数レベル日本人数11人(61%)12人(75%)受講者数登録者数受講者数17人(100%)登録者数22人受講者数18人(100%)登録者数21人受講者数16人(100%)登録者数20人受講者数9人(100%)登録者数10人箇所・所属別科,文学,教育,SILS,聴講,外部別科,SILS,文学,教育,法学,社会,先進理工別科,SILS,教育,法学,文学, 人間科学,外部別科,国際教養,文学,理工,教育,社会科学, 大学院(人間科学)がえる。日本人学生と外国人学生の比率を見ると,2010春学期と2011秋学期では,日本人学生と留学生の比率はほぼ半分であったが,2010秋学期と2011春学期では,日本人学生の受講者数が多かった。本授業科目では,普段マイノリティの立場で日本社会と関わっている外国人学生を念頭に置いて「小さな多文化共生社会」をデザインしているので,この比率はちょうどよい結果であった。授業に参加する日本人学生と外国人学生の混在比率をコントロールすることは一般的に難しいが,混在型クラスの理念やその履修方法の可能性を今後も考慮することは必要であるかもしれない。本授業科目で取り上げた映画作品は,『男はつらいよ』(松竹株式会社製作)であった。「男はつらいよ 松竹公式サイト」(http://www.tora-san.jp/index.html)によれば,「松竹映画『男はつらいよ』シリーズは,山田洋次原作・脚本・監督(一部作品除く)・渥美清主演で1969年に第1作が公開され,以後1995年までの26年間に全48作品が公開された国民的人気シリーズ」とあり,日本映画の中でも傑作の一つと言っていいだろう。近いところでは同ホームページ上に2008年から2009年の間に映画の40周年を記念した各イベント・プロジェクトが企画・実施されたとあり,国内や海外での記念イベントや上映会が広く催されたと報告がある。現在もラジオ局文化放送の開局60周年特別企画として「みんなの寅さん」というラジオ番組も放送中(毎週月〜金8:13−8:20)である。様々な社会的背景の中で映画『男はつらいよ』は,映画としての魅力を見せ続けているのである。映画『男はつらいよ』の内容は,同ホームページ上にある「『男はつらいよ』とは?:ストーリー」から引用して説明すると,「渥美清演じる主人公“フーテンの寅”こと車寅次郎が(中略)腹違いの妹さくら,おいちゃん,おばちゃんらが集まるだんご屋を中心とした柴又と,寅次郎が訪れる日本各地を舞台に,そこで出会った“マドンナ”と恋愛模様を繰り広げながら,なにかと騒動を起こす人情喜劇」であるという。毎回のドタバタ騒動の中で,旅・恋愛・家族・人生など様々なトピックが盛り込まれており,これほど多彩な内容も映画では珍しい。本授業科目でこの映画を取り上げた理由の一つは,この喜劇的要素と多彩なテーマ性であった。本授業科目の主旨は,日本語教育学という文脈の中で展開しようとする教材価値論の授業であったが,現代の学生たちがあまり視聴したことのない作品で,さらに学生たちの興味や関心を引く作品をと考えた結果,この『男はつらいよ』が候補に挙がったわけである。
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