●1181) 箱書きとは,映画や演劇,小説などを執筆する際に,構成をまとめるための手法で,シーン2) 表内の1.は,「総合」,2.は「口頭表現」3. 以降は「テーマ科目」という枠組みの中で行わ注 4.まとめと今後の課題早稲田日本語教育実践研究 刊行記念号/2012/107-118本稿では,今までの実践全体を振り返った。本実践を担当して思うのは,構成するメンバーによって,やり方も,進み方も変容するということである。さまざまなバリエーションの中で,「一期一会」の学習者との教室コミュニティを作って行きたいと考える。学期によっては,コミュニケーション不足や,意見を十二分に闘わせることができなかったということを訴える学習者もいた。ある期では,「クラスでのコミュニケーション活動については,何か雰囲気が固かったと思います。話が回って,かなりやった話を言って,コミュニケーションが難しかったです」(Uさん)などのように,グループ内での忌憚なく意見を言い合える関係性構築が難しかった場合や,「舞台を作り上げるに,そこに参加するひとの意志や熱意,絶えない練習は欠かせないものだと思う。しかし,こういったものが今回に限り,少し足りなかったような気がする。この授業での集大成となる演劇上演会(本番当日)で何らかのミスがあったが,コミュニケーション不足によるものであった。……(中略)……綿密にコミュニケーションを取るというのは,ある意味,万端の準備をすることと同じく,テストやレポートいった言い訳で,もっとできるはずのことをやり遂げることができなかったといった点では悔いがある。」(Uさん)のように,時間的制約により議論が不十分であった場合もある。こうした時間的制約に関しては,何かの解決方法を考えたい。また,学習者が残した一言に「コミュニケーションと自分の社会文化と多文化理解にも役立つので,外国人向けだけではなく,日本人の学生も取るべき授業」(Pさん)とある。現時点では,日本人はあくまでボランティアとして参加をしているが,この科目を日本人・外国人の両方が履修できる科目になった場合,「グローバル人材育成」のひとつの可能性となるのではないかと考える。そうしたことも,今後考えて行きたい。の要点をまとめて書いていくものである。れた授業実践である。1.〜2.は,学習者のレベルがそろっており,目的には語彙の習得など,技能の向上も明示されている。参考文献小林由利子・中島裕昭・高山昇・吉田真理子・山本直樹・高尾隆・仙石桂子(2010)『ドラマ教育入門』,図書文化社.絹川友梨(2002)『インプロゲーム 身体表現の即興ワークショップ』,晩成書房.池田玲子・舘岡洋子(2007)『ピア・ラーニング入門 創造的な学びのデザインのために』ひつじ書房.クリスチャン,レスリー(2003)『ドラマ・スキル 生きる力を引き出す』(吉田新一郎訳)新評社.メイ,ブライアン(1977)『ドラマによる表現教育』(岡田陽,高橋美智訳)玉川大学出版部.
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