早稲田日本語教育実践研究 刊行記念号
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●102.2.セルフ・アクセスセルフ・アクセスとは,留学生が主体的に日本語学習リソースや留学生サポートを活用することである。学習リソースや留学生サポートを利用するか否か,いつからいつまで,どのように利用するのかについては,留学生自らの判断に基づいて決定されなければならない。周囲の人間が留学生を無理にアクセスさせることはできても,それは健全なセルフ・アクセスとは呼べない。決定権は,すべて留学生が持っている。留学生支援システムでは,留学生が主体的に日本語学習リソースにセルフ・アクセスすることを,「学び」の第一歩と考える。図2(a)では,留学生(フェイスマーク)が既知のリソースにセルフ・アクセスして「学び」を実行していることが,矢印を使って概念的に示されている。セルフ・アクセスを可能にするためには,留学生のニーズに即した日本語学習リソースや留学生サポートを留学生に紹介し,十分に理解してもらうことから取り掛からなくてはならない。もし大学内外やWEB上に留学生のニーズに応えられる学習リソースや留学生サポートが存在していたとしても,留学生がその存在を知らなければ,アクセスすることは叶わない。図2(b)では,留学生が日本語学習リソースの存在について認識していないために,セルフ・アクセスできない様子,つまり,学びが形成されない状況が図示されている。留学生支援システムは,留学生による日本語学習リソースと留学生サポートへのアクセス可能性を確実なものとするために,アクセス経路の確保に努めている。アクセス可能性が高まるということは,とりもなおさず,留学生にとっての学習環境と修学環境が充実するということである。2.3.支援ネットワーク留学生が日本語学習リソースや留学生サポートに首尾よくセルフ・アクセスするためには,学習早稲田日本語教育実践研究 刊行記念号/2012/7-23図1 日本語学習リソースと留学生サポート図2 セルフ・アクセス

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