Dさん: 実はそのクラスに参加していろいろなものを学んだと思う。一番大切のは「TEAM ●114Fさん: 他の授業に比べて,この授業の魅力は「協力」ということだと思う。この授業を通じ3.本実践の意義―学習者の体験から 早稲田日本語教育実践研究 刊行記念号/2012/107-118れない姿を見せる。担当者ははらはらしながらも,最後にいつも「学習者は本番に強い」ということを目撃する。学習者は,上演会後に達成感を得たということをしばしば述べるが,これはこうしたある意味強烈な体験から来るものかもしれない。2.3.9 振り返り振り返りの目的は,1学期間の活動全体を振り返り,学習者にとってこの活動はどういう意味があるのかを問い,学習者の中での位置づけを行うことにある。上演会終了後,録画してあった作品を視聴し,振り返りを行う。それぞれの体験はどうであったのか,ということを口頭で一人一人発表する。また,最終レポートが別途あり,学期全体を通して,自分やクラスメートとのコミュニケーションを振り返り,学んだことを考察し,述べるものである。学習者がどのように活動を振り返ったかに関しては,次章に述べる。 本章では,上演会終了時に行った学習者が書いた最終レポートから見えた学習者の体験を述べる。なお,ここでは,2006年春学期〜2010年春学期の授業実践における学習者の声を拾い,それを通して本実践の意義を考察する。3.1 学習者の体験したこと3.1.1 「協働」を通して学習者が本実践を通じて学んだこととして上げるキーワードとしては,「協力」「チームワーク」「人の意見を聞くこと」がある。以下は,学習者の最終レポートに現れた声である。WORK」やグループで働くことだと思う。私の国では残念ながら,TEAM WORK はあまりない。いつも一人で仕事などをやるというしかし,その授業では台本は0から始まって,だんだん成長して,皆が納得できる台本を作った。Eさん: 一番大切なのはチームワークのことである。このクラスの中心な活動はみんなの意見を聞いたり,一緒に協力したりすることであります。授業が始まったばかりのころ,授業の人が多くて,協力するのは難しいかもしれないと思いました。しかし,意外にみなさんは,協力してお互いに意見を聞いてその意見を受け入れました。て,得られたものは単なるな日本語ではなく,友情や努力の満足感でもあった。Gさん: このクラスで学んだことは演劇の技術ではない,人を信じて,団体が大事のことだと思う。
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