早稲田日本語教育実践研究 刊行記念号
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●109表1 舞台演劇作品制作授業の流れ内 容オリエンテーションシアター/インプロゲームテーマ設定ストーリーライン演劇に関する用語,台本のフォーマット紹介台本執筆毎週の振り返り,中間の振り返りレポート練習上演会準備上演会振り返り中山由佳/ひととものをつくる授業概要の説明過去の上演会のビデオを視聴し,上演会のイメージを持つ。アイスブレイキング,身体表現への敷居を低くする,表現の可能性を認識することを目的に行う。ゲーム例: 名前を覚えるゲーム,しりとり,連想ゲーム,人間彫刻,ポートレート,シェアードストーリー話の根幹となるテーマ,メッセージを決める。話し合いで決定する。そのプロセスは,学期,クラスのメンバーによって異なる。演劇用語,台本のフォーマットを紹介し,台本を書く準備をする。全員で分担して執筆。方法は①授業内で相談しながら書く②宿題として,各自が書いてきて,付き合わせる学期途中で自分とグループの活動,コミュニケーションについて内省する。教員に伝えたいことについても記載する。配役,スタッフを決め,練習を行う。授業内では,練習が不十分となるため,多くの場合,授業外で自主的に練習を行うなどする。(教師も練習場所確保などの支援をする)宣伝活動(チラシ,ポスター,学内新聞やメーリングリストへの投稿),美術,音楽・音響 他観客は,当該大学学生,教職員の他,一般も含む。活動全体を振り返って,グループで共有。自分が学んだことについてレポートを提出。特集 教室中心主義からの解放/寄稿論文詳 細とを強調する。2.3.2 シアターゲームシアターゲームとは,ヴァイオラ・スポーリンによって考案されたゲーム形式の演劇エクササイズである。このシアターゲームは,もともと社会福祉施設の職員であったスポーリンが,雇用促進局のレクリエーション・プロジェクトのドラマ・アドバイザーとして携わっていた際に,文化的,民族的な壁を乗り越えることができるような演劇トレーニングを必要と考えて考案したものである。これらのゲームは,個性・創造性・適応に焦点をあてており,このゲームに取り組むうちに,子どもの持つ創造的に自己表現をする能力が引き出されるものである,としている。(小林ら 2010)本実践では,筆者が演劇ワークショップ等で体験したゲームや,絹川(2002)の「インプロゲーム」に収められているゲームを参考に,ゲームをいくつか授業に取り入れた。授業の中で,取り入れたゲームの例は表2のとおりである。始めの頃に導入される名前覚えを目的としたゲームに関しては,すぐに名前を覚えられてびっくりしたなどのコメントがあった。また,ゲーム全般については,「クラスメートの関係は思わぬかたち

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